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2017年4月

2017年4月30日 (日)

ときどきトランス日記 No.77 /  春の約束。

満開だった梅の花も終わって、あんなに咲いてた桜ももうとっくにお終い。
ちょっと寂しい気持ちになりかけていたらば。

庭のかなりの高齢とおぼしき梅の木に、気づけば梅の実がたくさんだ。
おぉ、自分で漬けた梅酒はさぞかし旨かろうと直ぐに気持ちも膨らむのだが、家人の言うには、
実が小さいうちにみな落ちてしまうのもあるのだそうだ。だからぬか喜びは早いのだと。

だってこの老木に花が咲くのも、実がなることも自分たちには初めてのことだからね。

築41年のこの古い家に越してきたのは2月の頃。
古い家なりに満ちていた「気」のようなものと折り合いをつけるのには少し苦労をしたけれど、
梅の蕾が膨らみはじめて、あれよあれよと言う間に満開になった時は本当に嬉しかったなぁ。
あまりに歳取った風貌だったからね、花が咲くなんて思ってもいなかったから。
おまけに実までたくさん。

Nh2
この家にして良かったなぁ、としみじみ思う。

住処を探すのって言うのはホントに楽しい。
今回も凄く楽しかった。
休みの度に家人と色々な物件を見て周った。
古い家、新しい家、化け物屋敷みたいだけど妙に惹かれる家とか。

物件に入るたびにわくわくするのは、そこで生活している自分を想像するからなんだね。
あぁ、この部屋でご飯食べるんだよなぁ、とか、このスペースにちょっと座れるとこ作ってさ、
お酒飲みたいなぁ、とか、とか、とか。わくわく。

新しい家は綺麗だし、何から何まで快適そうに見える。
でもね、何処も隣家との距離がぎりぎり。その一点が全部の快適さを上回る不快適。
間取りなんかも無駄がないから余白もない。
呼吸困難の家屋。楽しい暮らしの想像がどんどん萎む。
でも古い家には無駄がたくさんあって、その空いたところに気持ちが入り込んで、ひと息ふた息ついて、
のびーっと出来る。

たくさん見てたくさん想像したら、ふたつの物件が残った。

国立ど真ん中、商店街の切れる辺りの、店舗、住居が入り混じったビルの最上階。
リノベーションしたてでぴっかぴか。真っ白な部屋が続いてて、その先には20畳、いやもっとかな、
ひろーいルーフ.バルコニーのついたマンション。
真冬であろうとも、自分はきっとそのバルコニーでご飯を食べ酒を呑むであろう、とは充分に考えられた。
しかも1階はもんじゃ焼き屋でね、それも嬉しい。
国分寺に戻ってからは、こっちの方が近いので、外で食べたり呑んだりはいつも国立だった。
それに餓鬼の頃からお気に入りの町。
高校生の頃は女の娘とおおっぴらにデートするのは吉祥寺、こっそりするのは国立だったからね。あぁ、
この話は前にしたっけ。

でもね。

この家。
駐車スペースの脇に、大きな松の木が生えている。
まずこれが気に入った。堂々としている。
そして件の梅の老木。
どちらもこのくらいになれば某かの精が住んで居るに違いない、と思う。

案内してくれた不動産屋が鍵を忘れて取りに行っている間。
自分と家人は古びた縁側に座っていた。
冬の最中の、でもぽかぽかと陽の当たる真昼の、止まっているみたいな時間。
袋小路の奥まった場所。しーんとしている。
家の中はまだ見ていない。
でもその時間のなかで、自分たちはこの家に住むのだろうと思っていた。

Me1

春一番が僕たちの住む春待ち袋小路の家を揺すってる。
この通りには家が9軒ある。
で、どの家もが同じ住所。不思議。
ところで、息せき切って通りに走りこんだ風は出口なし。だって袋小路だからね。
だから戸袋の中に飛び込んで慌ただしく雨戸を鳴らして逃げていく。

ならば花見だな、そろそろ、と思う。
帰国してからは毎年我が家主催の花見が恒例になっている。

でも今年の花見は特別だ。いや、今年から、だな。
去年死んでしまった仲間と交わした最後の約束が花見だったからね。

今年の花見からはもう大分時間が経ってしまったけれど、直後にFBに投稿したものがあるので、
忘れたくないので此処にも記そう。

4月8日(土)
昨夜半から小雨が続いている薄暗い朝だ。
けれど庭先で鳥の囀りが雨音に混じっているので希望も感じている。

はは、満開だぜ、けん。
さっそく一杯飲ろうじゃないか。

「俺はこんだけロックやれてるしな、ちっとも可哀想じゃないぜ。でもそうだな、それ以外じゃ、
もういっぺん桜を観たかったな」

去年の5月16日に言っていた奴の言葉。
そして10月に入り、4日へと日付けが変わる頃、それだけは叶わずに完全なる自由な世界へリリースされてった奴。

自分はその言葉にこのように答えたと思う。

「ならば付き合うぜ。
先進医療のドクターだって知らない世界で付き合うぜ」

Hn
狙った訳じゃない。
けれど気付くとけんのグラスに花が落ちている。
こころねの優しいちび達もいたしな、奴らの悪戯かもな。
でも皆が言ってくれた、グラスのワイン減ってるよって。

多分、20年くらい以前のこと、スプラッシュ.シンバルが凄く欲しかった。
だが自分は海外に居り、あんまりお金もなくて。
たまたま帰国した折に一計を案じ、けんに聞いてみた。

「ねぇ、割れちゃったシンバルとか持ってない?」

そうして自分は、外径にヒビの入ったJildjian社のチャイナ.シンバルをバリに持ち帰った。
鉄工所に持ち込み小径のシンバルに加工するこころづもりだったが、何処でも断られ、最終的に自分は
強力な金切り鋏を手に入れ、苦労して加工した。

ライブでもレコーディングでも随分使ったそういうシンバルをけんに見立てた。
「見立て」は最も美しい日本の文化のひとつだしな、ちょっといいだろ、花見には。

けん、また来年も連れて来てやるからな。

Hn3
Hn4

この日記の如きを読んで頂いた皆さんへ。

漸く色々と片付いて、お客さんをしても良いような感じになりました。
僕の通っていた国分寺第一小学校のほど近く、そして小金井市と府中市に国分寺市がゆるゆると出会う辺り、
と言ってもわかりませんね。
国分寺駅の南口から歩いて15分ほどの処です。

Pl1

ところで1976年に建ったこの家は、当時のモダ―ン感覚いっぱいの注文住宅だと思われます。
41年の時を経て、それがじわじわレトロモダ―ンに変容して、偏狭な自分の趣味にぴたりと来たのです。
とっくに使用不能になっているウォシュレットや床暖房の設備。ビルトインされてるオーブン。
でも和室には床の間に雪見障子だったり。古臭い玄関灯があったり。

Re2
Re
どうぞ遊びにおいで下さい。
さて、おいしいお酒でも用意しておきましょう。

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