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2014年7月

2014年7月20日 (日)

ときどきトランス日記 No.68/暖かい島とカーマスートラと近所のひっそりした場所。

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夕方、壱岐の塞神社で、お賽銭を投げて鈴を鳴らし掌を合わせて、ふと困ってしまった。
金色に輝くこの御神体を前に、さて一体、何事をお願いしたら良いのかわからない。
巨大な男根や女性性器、果ては四十八手らしき艶絵が長押のあたりにずらりと並んでいる。おおらかな性の肯定の満ちた神域で頭の中は絶句している。
結局何も思いつかず困じ果てて、今晩のステージの成功をお祈りしたんだけど、あぁ、性交、、ともちょっと思った。

5月に種子島、指宿、熊本と短いツアーから帰って来てすぐに引っ越しをした。
国分寺市。産まれた町に20年以上振りに帰って来た。
バリに13年、そのあと神奈川に9年。長き不在の地。

西国分寺駅まで歩いて20分。国立駅まで15分。なので国立駅。すきな町なので嬉しい。高校生の頃、友達と遊ぶのはもっぱら吉祥寺。女の娘とおおっぴらにデートするのも吉祥寺。しかしながら、こっそりとデートするのは国立なんだった。
懐かしくて毎日歩きまわった。
20代の頃に通ったセカンドランや名画の掛る映画館(国立スカラ座。ぼくは先鋭的なロッカーを気取り、レザージャケットにラバーソールを履いて、破綻の味わいも知らぬのに、文学やヌーヴェルバーグ映画の匂いだけを嗅いでまわっていた)ももうとっくに消えて、古書店も殆どがなくなっていた、、
けれどこの町独特の、ちょっと世の中からズレちゃってる感はまだまだ残ってた、というよりも僕の知っている当時よりもそれは色濃く。

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この頃の夕方の大気が酷く気持ち良い。夏だ。予想通りだ。そのように予想して自分はリサイクルショップでテーブルと椅子を安価で手に入れ、ベランダに設置しておいたのだ。
金の粉の舞うUbud村の夕刻には及ばぬが、やはりとても良い。炭酸の酒が旨い。
空が広く見渡せる、それが此処に決めたぼくの理由。家人は家人なりの理由があって、ともかくも気に入っている。
景色の中の唯一の高い建造物は鉄塔武蔵野線だけ。誰も見ていない真夜中には動き出して欲しい。黄色い顔の鉄塔。

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このところ、演奏会場に向かうのはいつも船だ。凄く楽しい状況だ。わくわくする。でも高速のジェットフォイル船は構造上、船客の楽しむ甲板というものがないから船旅の楽しさは半減する。

ところで羽田空港へは浜松町からモノレールに乗った。神奈川時代、羽田はとても近く便利だったけれど、国分寺からは結構遠い。でもモノレールから久し振りに見た東京の景色は素敵だった。もう50年も走っているというモノレールは、子供の頃には凄く未来的で特別感に満ちた乗り物だったけれど、今は移り変わり更新し続ける東京の景色の中をレトロ感たっぷりに走り抜けてく。
東京タワーやモノレールが、僕だ。

今回は早朝3時半に起床して出てきたのだけれど、博多空港から博多埠頭までの移動時間が1時間しかない。しかも機は少し遅れているという。予定の船に乗れないと、現地での動きがタイトになり過ぎて大変。
なので、どうしようもないのだが気が急く、疲れる。
久し振りの福岡の着き心地もなにもなく、最速のルートだけを考えつつ、標識だけを見ながらずんずんと進み、地下鉄、タクシーを乗り継いでぎりぎりで乗船。

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昔。
PlanetBambooの九州ツアーのときは、Bunとふたりでやっぱり博多空港に降り立ち、出口のところにArifとSakoちゃんがにこにこしながら待っていてくれるのが見えた。そんなことを思い出したのも船の中だった。もう8年も前の話。

壱岐の文化事務局の方たちが出迎えてくれて、ホテルに連れて行ってくれた。前日に壱岐入りしていたしょう君、あんりちゃんと合流して打ち合わせ。
前夜は歓迎会で壱岐焼酎や美味しいものが振る舞われたという。くく。。

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しかし壱岐の文化ホールは素晴らしいホールだった。キャパ1000人。
緞帳が上がって演奏が始まるなんて、随分久し振りのことだ。音響も照明も申し分なく、音楽を楽しませて貰った。興に乗った音速はお客さんとリズムセッションを始める始末。
カリンバ弾きながら客席に降りたけれど、最前列のところでケーブルがギリ。ワイヤレス.システムを買おうと、この時決心する。

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そして長丁場だったにもかかわらず、席を立つ人が殆どいなかったって後から聞いた。
ステージからでも凄く聴いてくれてるな、って空気、手ごたえ感じてたけれど嬉しい、これは。
ホテルに戻ったら、眠い眠い。

僕だけ帰京するので、早起き。独占状態の温泉、壱岐のものばかりだと思う10種類以上あるおかずの付いた朝ご飯、たっぷり楽しんできた。

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この島の空気、大気はとっても好ましく、郷ノ浦という小ぶりな湊町は、こんなところで暫く暮らしてみたいなと思ってしまった。
しかし今朝は強い吹き降り。それなのに夕べの関係者の方々がわざわざ船着き場まで見送りにきてくれた、、
今度はきっと、倍以上時間かかるけれど普通のフェリーにしよう。そうやって、暖かいひとたちの住む島へゆっくり近づきたい。

先日。
西国分寺駅方面からの帰路。もう2分程で我が家だ、という辺りに人ひとりがやっとすれ違える程の小路がある。
100mもないくらいの真っ直ぐな道で、我が家を挟んだ向こう側のバス通りらしきが見えている。
そのうち入ってみようと思いながらも、通り抜けて帰ると遠回りになるし、荷物が重かったりして未踏の小路。
先日。
真夏のような午前10時少し前。強い日射し無音。
自分は身軽に通りかかり、ふいと曲がってみた。
両側はまだ新しい感じの住居が続いていて、そのうちいい加減な感じの原っぱが雑木林に繋がって、突然「去年マリエンバートで」みたいな空間にぽんと出る。
樹木や杭の影が濃く、え、と思い無音の世界の入り込む。

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昔。
25年くらい前に、やっぱりすぐこの近所に住んでいたことがあった。
その頃はこの辺一帯は雑木林だった。造園業を営む家がいくつもあった。そして、雑木林のなかにぽつんと古いアパートが建っていて、そこの一階に現家人とピートという名前の猫と暮らした。
あれほどの雑木林もすっかり消えて、住宅やマンションが建っている。かつて暮らしたアパートがどの辺りだったのかはもう判然としない。

この空間を残した理由、自分は知る由もない。このひっそり感。

とまれ。

引っ越しをしました。機会があればお寄り下さい。狭くもなく広くもない、丁度の良い住居です。

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