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2013年5月

2013年5月10日 (金)

ときどきトランス日記 / No.55 屋久島想い(音速珈琲廊、2013九州の記)

先日。
夜も更けて、勤務中にその晩の相棒が言うのだ「いやぁ、今日は元気ですねぇ、俺はなんか疲れちゃって、もうヤバいですよ」と。
「え、いや、俺も疲れてるよ、、」
「いや、なんか元気ですよ、今日。やっぱり屋久島からパワー貰って来てるんですかねぇ」と。こいつはそんなこと言う奴だったかな、と思う。普段のこやつ見ていると結構しょうもなく、そういうこと言える奴ではない、と思う。
なのに。
言われてみると確かに思い当たる。自分は元気だ。そりゃ身体は歳なりに疲れてはいる。けれど何処かしら元気である。

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こやつに密かに礼を言う。ありがとう。気付かなければそれまでだし、気付けば少しづつ嬉しくなってくるんだ。

羽田空港で呑むビールが好きである。と云ってもレストランとかではなく、売店の缶ビールね。さて何処で買いましょうとうろうろしているうちに、搭乗待合の方に入り込んでしまって、もう出られない。
でも中でもちゃんと売っていたし、凄く美味しい手作りのおむすびの店も発見した。
そういうことですぐにご機嫌になって、良い演奏ができる(多分)自分は大変安上がりな性質である。
ただし、チェックインしてしまうと売店は一種類でビールの銘柄の選択肢がかなり狭まる。その前に空港内コンビニで仕入れること。

鹿児島。
三度目の。特別な思いが染みついた町。
大切な友人のHome、此処は。ある時期、自分と彼が中心で世界が廻っていたことがある。
若かった、のだろうね、其のことは。
否定でも肯定でもない、ただそうであった、としか言いようもなく。

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初日。ツアー初演。鹿児島、天文館「ユリイカ」
極まった内装。友人の一番新しい店舗。彼の旅、の集大成のようだ。しかしまだまだ先があるのだろう。だってこのところの彼の店には何処も長距離列車のプラットフォームが隣接している、いまにも列車の発車する気配がしている。

満員の熱。コロニアルな頽廃を醸すムード。ビールのグラスの縁に映る停車場。音楽。男と女。

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環境音楽なんていう言葉が言われ始めて久しいが、音速の音楽はそのことに特化し始めると、この晩のようなことになる。
ひと、熱、取り込み取り込まれ生まれる熱の永久運動。背徳。バタイユの永久運動。

「イパネマ」で熱から解放されて、ようやく鹿児島の夜がゆるゆると流れ始めた。風変わりなペット奏者の経営するこの店で、彼とボリス.ヴィアンの話を少ししたのは、やはり熱の名残なのだろうか。呑むうちに今宵の関係者が続々集まってきて場が気持ち良く曖昧になった。

翌日。
繁華な鹿児島中央駅ではない、本来の「鹿児島」駅より列車に乗る。2時間ほどの旅だけれど、楽しみにしていた行程。都城へ。
寂しげな駅から桜島を廻りこんで海岸線を走る。寂しげな顔が桜島にだぶって映る車窓。
いつしか眠りに落ちて、たくさんの町を通り過ぎて。

綱引き部は部員募集なれど、廃部になっているようだ、などと駅前で趣味の写真を撮っていたら、しょうくんと楽器車が迎えに来てくれた。
そのままFM都城のスタジオへ。生放送。

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@都城 MU-ZA
地元のベーシスト、ケンが参加。音速にアコべが入るのは初めて。面白い場面が何度か出現した。
このお店の場は、音楽を音楽として提供する環境が整っているので、昨晩とは全く違った雰囲気の演奏となった。ステージの床は木で、ちゃんと下に空洞を確保している。最高だ。板の上、立ち位置は下手。ベスト。

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マスターのゆうさんは、ついさっきまでラジオでぼくらを相手にDJをやっていたかと思えば、こんどはこっちと忙しそうだ。しかし、この人柄でミュージシャンやお客さんが集まるのだなと思う。

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三日目。
鹿児島港から高速船で2時間。とうとう屋久島に行く。
桜島が噴煙を上げてる。
値段も飛行機並みだが、乗り心地も飛行機みたいな船。気持ち良い居眠りから覚めたら、ぎざぎざした島影が近づいてきた。初めて見るワイルドなシルエット。
ライブ会場「ハレキパ」へ。

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広いベランダに芝の庭。その先は海。これは帰るまで裸足でいいなと思って、靴をしまい靴下も脱いだ、そうしたら楽器バッグのポケットから黒いゴム草履が出てきた。いつ入れたんだか全然記憶にない物品。大変に嬉しい。
一気に島モード。なのでウクレレを弾いてしまった、つい。僕は結構巧いのよ、これ。

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ゴム草履に短いパンツにT-シャツの島のカッコでお昼御飯を求めてあちこち走るのだが、昼下がりの深い時間はどこも眠っているような島だった。
ぎざぎざした稜線が幾重にも重なってパースペクティヴ。快晴なのに霞んでいる。明日はあの中へ分け入るのだと思うとわくわくする。

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日が暮れて会場は大忙し。設営、飲食の準備、たくさんのスタッフが動いてる。サーファーのカタやんと友達になったけれど、忙しい最中だったので残念。
今宵は屋久島焼酎の本坊酒造とのコラボ。
99.99%の満月と焼酎と音楽の宵。海面に月の道が続いてる。
仕事を終えた友人が最終の高速船で到着。さっそく自慢げに案内したのは此処。
開場前から本坊酒造のブース付近を頻回に立ち回っていた自分は、すでに色々呑ませていただいていた。

Imgp1657_2 今宵は焼酎フリー!なの。
前割り(水割りを一晩寝かせたもの)っていうのは話には聞いていたけれど、う~ん、これかぁ。すいっと喉を通るなぁ、うんうん。試しにロックで貰ってみたら、あ、これもすいーっ!だ。旨い焼酎ってそうね、と納得。「水ノ森」「屋久の島」
杜氏さんもいらしていて、杜氏って云うと自分のイメージでは雲の上の人って感じだったので、そういうひとにも自分たちの音楽聴いて貰えるのが嬉しかった。

結構呑んだけれど、演奏に差し支えることはまったくない。ちゃんと感知してるから。
知ってるから。
屋久島のエキス取り込んで音に還元したの。これが一番自分らしいぜ、と。

音楽は、、そうだな、まるでバリで演奏してるみたいだった。
音速の速さで時や場所を超えた。なので懐かしいという感覚はない。今、という感覚だけ。

9.11のNYテロで世界の均衡が一気に崩れ、一年後にバリ島での同種のテロを経験し、さらに3.11以降のこの国への想いが、いま同時に全部此処に在って。
ピース。平和。この晩はいつも以上にその様なことを想い、口にもした晩でした。決して酔っていたわけではなく。自然に。

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そしてその晩の若造たちは、修学旅行的な就寝をして楽しかった。
明日はいよいよ分け入るのだ。

最終日。早起きした。
フィトンチッドの揮発を身体いっぱいに吸い込んで、何とか二日酔いを治そうとする俺。
深い深い森の中で。
夕べ演奏後に河口近くの古いレストランに呑みに行ってしまったので。散歩亭と云う。飛び魚の燻製旨かったな。弾力が凄い。飛ぶからね、なにせ、などと言いながら楽しく呑んだ。

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太古の森。
千年二千年三千年の樹木。それにかしずく陰性植物たち。射す陽の帯が細い束になって景色を変えてゆく。
深い。底にいる感じがする。いや、山の上の方にいるのにね。世界の底にいるみたいな感じがする。
不思議なことだが、この森に入る前日、つまりは昨夜のライブ中だけれども、この森の「感じ」が音になった。で、翌日それを確認した、と云うか。時間がひっくり返ったのか、そういうこともあるのだろう、と思う。
ライブ中に曲らしきものが出来上がることはときどきあるのだけれど、しょうくんもぼくも共通のナニカを森から引っ張り出してきたのかも知れない、海岸まで。

そして地上に這い上がり、実際は下山なんだけど、港へ。鹿児島へ戻り夕方までゆっくり過ごして帰ってきた。

何という。長い長い一日。
世界の底へ降りて、昇ってはまた降りて、海の上を走り、夜の日本列島上空を横切って東京着地。バスで横浜へ。さらに電車に乗って10時過ぎには自宅にいたんだ。
少し呑んでから眠りに落ちる刹那、今朝は屋久島にいたことがやはり信ぜられぬ気持だったし、しかしまだその夢の続きのなかにいるような感じもあって、だから眠ってしまったらそれが終わってしまうような寂しい気持ちもしていた。

ところで鹿児島へ行ったら絶対に食べたいな、と思うラーメンは「豚とろラーメン」だった。それが去年は「小金太ラーメン」になり、今回「ふくまん」となる。深い、鹿児島ラーメン。

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