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2012年10月

2012年10月 2日 (火)

ときどきトランス日記 No.52 / 西時間。

9月30日。
今年最大級の台風がもうすぐ神奈川に到着する。
市があちこちに設置している拡声器から警報。結構高い位置にスピーカーがある。
隣りの公園でサッカーをしていた子供たち、滑り台の根元辺りに蟠っていた小さい女の子たちも、いつの間にかいなくなってる。
静かな公園。日曜日の。
ラッパ型の拡声器の声が空に棚引くと、コーランみたいなのね。ぼくの耳には。

とまれ。
台風のでかいのがやって来て、さんざんに大気をかき乱して9月を蹂躙すると、これで本当に夏が終わっちゃう。
一過するともう秋になってる。
午前中はまだ夏みたいな天気で、ぼくは半ズボンにTシャツで最後の夏の買い物に。

鼠色の雲がどんどん厚ぼったくなって鈍色。
降りだした、とうとう。まだ風は静かだけど、なんだか邪気を孕んだ風。何かこの後とんでもないことが起こりそうだった。
雨はしかし一旦止んでいる。何かが起こりそうな感じ。不穏が張りつめて、辺りは静か。静かな公園。

窓から世界を観察するのは旅に匹敵するから。だから本当は旅なんて行かなくても良いのかも知れない。いや寧ろ、旅に出て日常の不便さに苦渋するよりよほどの快適。殆どの自由がホンの数メートル以内で自在。

でもやっぱり行く。
行きたくなってしまう。
そのくせ旅立ちの朝は行きたくなくて、憂鬱で。それがある瞬間にくるりと反転して、突然楽しさのピークがやって来る。その感じがいつまでも忘れられないから。

ところでぼくは、大阪と神戸は一度しか行ったことがない、と思い込んでいた。
しかし。
先日、昔々にやっていたロックバンドのヴォーカリストと久し振りに呑む機会があって、彼女曰く「何言ってんの、大阪も神戸も何度もツアー行ってるじゃん」と。
どうも間違いなさそうだが、思い出せない、、一度の記憶しかない、のか全部混ざって一回に纏まってしまっているのか。何れにせよ情けないことである。自分の記憶。
仲の良かった大阪和泉のへヴィーメタルバンドのAsh、バンド名の思い出せない3ピースのパンクバンドの連中。ベーシストがセンスの良い曲を書いてた、、などの人々と呑み歩いたと思う。串カツ、どて焼き、たこ焼き、明石焼きとか、、しかしもう記憶に自信ないね。

大阪へ到着するのは新幹線で、というイメージが強い。いや強かった。当然のように思っていた。
けれど、夏場の新幹線は簡単に切符が買えぬ。全然知らなかった。予約してあっても買える保証は何処にもないのだそうだ。
そりゃ困る。自分が言いだして計画した家族旅行だぜ。切符が買えぬので中止というのは嫌。
なので飛行機。たいして値段も変わらないし、早いし、予約さえすれば絶対乗れる。なめんなよJRって感じ。
飛行機、大阪と云えば関空である。
でも伊丹空港。全然知らなかった、そんな空港。成田と羽田みたいな立場だろうか。
しかし、大阪へ着くのはもう絶対伊丹空港だなと思った。

毛足の長い絨毯に舞い降りる玩具の飛行機。
絨毯の毛はすべて建築物だ。みっしりとした市街地。圧巻の眺め。
いや、水底のようにも見える。
水中眼鏡をしてゆっくりと水底に近づくと自分の影が眼下に映り、近づくにつれ、まるで空を飛んでいるような気分になる。自分はランディング間近の飛行機だ。浅瀬に向かってぐんぐん。
みっしりとした大阪の街へゆっくりと突っ込んでゆくあの感じはね、そんなこと思わせる。
しかし自分の目玉は勝手に幽体離脱をして、そういうパースペクティヴを見るので困りものだ。窓から外を観たいのに。

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大阪。梅田。
やはり妙。漢字、平仮名、アルファベット、どれも馴染みあり過ぎの自分の名前がそこらじゅうに表記されており、アナウンスされているのね。
覚悟はしていたけど、妙な処に嵌り込んだ感じがしてちょっぴり楽しい。
で、リムジンバス降りて、阪急梅田駅の高架下の、ぐっとくる古い感じの、飲食店街でさっそく串カツにビールで旅の祝いをした。
もちろん立ち呑み、ソースの2度づけはあかんで、嫌、旨いわぁ、と昼から御機嫌。
今回はこの時点が旅のピークだった。あとは旅の終わりまでゆっくりゆらゆらと降りてくればいい。

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ともだちに逢ってたくさん食べて、呑んで、西の時間はホント楽しかった。
奈良は雨でしっとり。でもしっとり濡れた鹿は鹿臭くて、あんまりこっち来んでな。

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泊った商人宿は暖かくて親切で、なんとも居心地が良い。晩御飯も朝御飯も美味しかった。今回の旅で一番安い宿だったけれど、一番こころに残った。何時の間にか現代の時間軸からするりとはずれて、誰にも気づかれないうちにふいとなくなってしまうような宿。
あぁ、そういえばあそこ、以前は旅館だったよなぁ、、そういう家。

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神戸の海岸で海鮮バーベキュー。バリ時代の呑み友達の一家の御招待とあって、ぼくは後半の記憶がなく、、朝起きたらなんだか洒落た感じの部屋。朝食に行くと、何処も彼処もクラシックな感じで凄い良いのね。
それもその筈、自分が選び抜いて予約したホテルだもん、凄く楽しみにしてたのに、、全然味わわずにアウト。

大阪で串カツ、お好み焼き、たこ焼き、そんでまた串カツ。串カツ旨いなぁ~、ビールにハイボール。夏の大阪は暑っついからね、炭酸のお酒が最高。炭酸の町だ。

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キタの天満「千草」お好み焼き食べるならこんなお店で食べてみたいって思ってた、そのまんまのお店。店内其処此処にひと、の暖かい感じや歴史や良心や、なにかそういうもの色々が蟠っている。

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西の時間はあんまり美味しくて楽しくて、いつまでも帰りたくない時間。

今回はあちこちで手を合わせる機会の多い旅だったが、阿倍野清明神社では掌がくっついたようになってしまった。
我が家は三人ともに清明のファン。不思議なことだが。
今回一番地味で小さい社。でも一番好きだった社。

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雨。しかし大阪は傘をさしながらの危険運転の自転車が歩道をがんがんに走って来るなぁ、と思ったらば。
でもちゃんと両手でハンドル握ってる。
おぉ、これは、、
そうして一度気付くとどんどん見える。みんなそうなっている。
なんと、ハンドルの中間辺りに傘を固定する器具がついているのだ。これは初めて見た。こっちにはない、多分。

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しかも少し研究してみたらば、ただ傘を固定するだけの簡単な機能もの、さした角度を調節できるもの、さらに固定した傘を盗まれないようにロック機能のある高級ヴァージョンのものと、多種。

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お。お。さ。か。
昔、70年代。オシビサ、というブラジルのラテンロックのバンドがオ、シ、ビ、サ!と自分らのバンド名を連呼する歌を歌っていたが、ぼくの頭の中でその曲が、お、お、さ、か、!となって鳴り響いていた。

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