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2009年11月

2009年11月19日 (木)

音速珈琲廊ものがたり。

/by michiro-U.

やっとCDが出来上がりました。
実は来年早々にBaliのMaharaniRecordというところから、正式にCDが発売されるのですが、それに先行して、JapanEditionとして、内容を変えて制作したものです。
いまのところ通信販売とライブ会場のみの販売(¥2000)となっています。
Jack1
2002年から続いている音楽の冒険の結実です。
アート.ワークはUmiIshigami、以前彼女の個展で何度か演奏しました。

そしてこれはね、ぼく(michiro-U.)の側から見ている音速珈琲廊のお話しなので、公式なプロフィールとは少し違うものになってしまうかも知れません。だから「ものがたり」です。
Jack2
BALI島のUBUD村に住んでいたぼくは、PlanetBambooという多国籍の音楽グループをやっていてね、色々な民族楽器を自分なりに操ることは楽しくて驚きに満ちた日々でした。
すきなだけ時間をかけて、ソロ音源を録音したりしていました。
そして息子ができて、ぼくは「世界」に満足しかけていたのですね。
けれど、、
「世界」に悪い風が吹き込んで来た。
ひやりと肌をかすめるものたち。凍えた手。
2000年のN.Y.のテロからこっち「世界」は少しづつ変容してきたように感じました。もちろんその兆しはもっと前からあったのだろうけれど、ぼくの皮膚感の嫌な感じはこの日を境に始まりました。
そしてその2年後、バリでも爆弾による同様のテロが起こり、たくさんの人々が亡くなった。
凍えた掌はとうとうぼくの首筋を掴み、ぼくの満足は破壊され、ようやく「外」へと目が開いたのです。

ジャカルタ〜バリ〜日本、と不思議な動きをしているミュージシャン、Show君と知り合ったのもその頃。
雨が一日中しょぼしょぼと降っていたような日、Ubud郊外のギャラリーの庭で彼に紹介されました。
PlanetBambooのコンサートのあった日。
バリのテロ被害への義援金を募るCDがジャカルタで製作されていて、そこに参加していた彼の名前と音はすでに知っていました。ぼくも音楽家として出来る事をUbud村で色々やっていたので、何か縁を感じてね。
その時の、好奇心に満ちた彼の瞳は今も変わらない。
Enn
そうしていつの間にか、Show君はギターを持ってNyukuningの我家へ遊びに来てくれるようになりました。
初めてのセッションは本当に驚きに満ちたものでした。ぼくはそれまでに味わったことのない感覚で、カリンバを演奏していました。
どの楽器でも自分の裡からどんどん音が溢れてくる音速珈琲廊特有の感覚。それはこの日から始まっているのです。
Room
Show君の生活って、多分すべてが音楽。
音速珈琲廊はその一部分で、色々なことをやっている。ぼくはそのすべてを知っているわけじゃない、いや、殆ど知らないのかも知れないと思う。
凄腕のギタリスト、とか驚異の和音感覚、とか。でもぴったりなのは、ぼくが空っぽの洞になるまで音を引っぱり出しておいて、涼しい顔してるニクい奴。
Gen
音速のリハーサルはあいだに珈琲を挟んで、音だけのコミュニケーション。勿論会話もするけれど、音楽家にとっては音は言葉よりも音速。なんだかそういうふたりの風景を言葉にしたら「音速珈琲廊」って自然に出て来ました。

ぼくとぼくの家族は12年振りに日本に帰国した。日本で生活を建て直すのは本当に凄く大変だった。けれどとても沢山の時間をセッションに費やした。きちんと時間をかけて、この音を創って来た。そういうことをちゃんとやった。
音速珈琲廊にはリハーサルとか本番の区別がなくて、いつでも、がすべて。それはスリルに満ちた音楽の冒険。
それはShow君の家の自室スタジオや我家のキッチンで行われる。そしてステージでも行われる。いいのかな?こういうことを行って、、と思う時もある、でも冒険だ。
そう、長い時間をかけて、たくさんの冒険を成功させてきた。
それは即興演奏の音楽?と思われるかもしれないけれど、そうではなくて。何と云うか、純粋音楽。
Nekolive
ものがたりはまだ続いています。
本当にぼくからだけの書き方になってしまったので、Show君にも「音速珈琲廊ものがたり」の執筆依頼をしようと思っています。
それまでは彼のサイトを観たりしてみてください。
音も聴けますよ。
http://www.sekishow.jp
http://www.myspace.com/sekishow
http://www.new-hero.com/neo/ 音緒
http://www.myspace.com/soniccafe 音速珈琲廊 

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2009年11月12日 (木)

ときどきトランス日記No.27 / もう11月だけれど、この夏からこっち、あったことなんか。

11号台風と一緒にあっけなく往ってしまったのだ、この夏は。
でも楽しい夏だった。去年より少しだけ良い夏だったな。
家族で旅行もした。名古屋でライブもやった、何より名古屋の滞在が楽しかった。

そんなこんなの夏の終わり頃、友人の馬場敬一君の個展が開かれた。
で、最終日には、Bunが参加しているNadaDelightのライブもあるらしい。
これは行こうと思った。
会場は家からは遠いけれど、実家からは近いので、泊まりがけで行こうと思った。
泊まりならば終わった後、たくさんお酒が飲める、とも思った。いや、誰と呑むとかそういう事はとくに考えずに。

いやぁ、でも馬場ちゃん、、凄いな、このひと。
広い会場のいくつかの部屋。作品のない天井や床や壁の余白にまでも、ナニモノかが埋め尽くしている感じがした。目の前にはにこにこした馬場ちゃんが立ってて、作品からはもうどんどん何かほとばしっていて、ぼくの眼球はうずうずする。
いや、ナニモノかって、それは馬場ちゃんなんだけれど、これだけのものがこの人の裡に入っていたのかと思うと怖くなるね。
絵の力、そのものを観たのだと思う。
ぼくは音楽の力を伝えるもの。あぁ、このひとは画家だ、と思った。
突然家に遊びに来て、楽しそうにお酒をいっぱい呑んだこのひとは、画家。絵の力だった。
でもぴったりの表現はまだ見つからない。来て良かったな。

NadaDelightは良かった。
実は、これに音楽の入り込む余地があるのかな?という気持が少し湧いたのだけれど、とてもわかっている音楽だった。ひと、と云うことですね。
なにより本当に久し振りにBunの演奏を聴けたのが嬉しくてね。

独りぼっちで呑むのは寂しい、という理由で今日はTurbo君誘って来ていたのだけれど(実は件の深大寺蕎麦スグソバスタジオから此処はスグ)嬉しい事にBunもあとから合流することになって、三鷹の駅裏の、海の家が無秩序に増殖しているようなヘンな居酒屋でたくさん呑んだ。
居酒屋から独楽。いや違う、徳利から独楽。
Bunはぼくにカリンバとカリンバのスピリット(つまりは気持をカリンバを通して放出すること)を渡してくれたひと、僕の使っている三つのカリンバは勿論彼の手に拠るもの。これで音を出す事がひとつの芸術となる訳で、最高の楽器職人と云う事。
音速のCDにはナンバーワン.カリンバメーカーなんてクレジットしちゃったけれど、プレイヤーとしてもそりゃ素晴らしい。
昔、彼とやっていたSonicBambooというデュオ、デビュー.ステージはN.Yで、2時間40分ノンストップのプレイ。ぼくはティンクリ、ギター、マンドリンがメイン楽器だった。でもそのステージのラストはカリンバ2台でのセッションで、いまの自分の音楽に繋がっている。
その後それがSonicBambooのステージの名物みたくなったねぇ、なんて昔話から独楽がでた。
でもカリンバ2台でちゃんと録音したことなかったよねぇ、なんて話にTurbo君がノってくれた。
じゃあ録っちゃう?ってね。
もうその場で日取りも決めた。
そして数日後、ぼくの三つめのカリンバが我家にやって来た。彼にしては珍しいアシンメトリーなデザインでなにか顔のようにも見える可愛いやつ。
Kali2

その日は嬉しくてずうっと弾いていたり、手に持っていたり、飾りをつけてあげたりしてた。
早速、音速のリハーサルに持って行ったら、しょうくんの和音魔法で、ぼくには思いもつかないような曲調のベーシックが2曲分出来上がった。どうしてこんなことが出来るのか、、すげー腕だな、といつも感心してしまうよ。

10月5日 / 雨がしとしと月曜日に録音。
京王線の調布〜つつじヶ丘、ついでに仙川まで、で、中央線の三鷹と吉祥寺へ線を引いた台形型のエリアは僕が高校時代を過ごした聖なるエリアである。
その中心くらいにある件のスタジオ兼住居へ。逆かな?でも。
Reco1


まずはTurboくんの作ったベーシック.トラックにカリンバを別々に重ねてゆく。レゲエビートが気持良いので、のちのちダブっぽくなるだろうと思ったので、bpmを出来るだけオトして貰った。
Bunのカリンバの音は確実だ。確固としている。自信に満ちている。増々に。
ぼくの奏法はそれとは随分かけ離れている。いや、いつの間にかかけ離れてしまったのだね。昔はそうでもなかったような気がするのに。
ぼくの音はふわっとしている。掌のお椀から溢れ出すまんまにしている。際限なくしている。
けど、実はこれがライブの時に裏目に出てしまう事がある。弾き過ぎてしまうのだね。いつもあとでライブ録音を聴き返して、しまったと思う、、
夕方まで録って、お酒を買いに行って、美味しい晩ご飯を御馳走になって、たくさん呑んで。
もう、大分良い感じ。
さて、じゃあやるかって、今度は2台のカリンバのセッションの録音。
昔は「2台のカリンバのためのダンス」っていう曲名の紹介してた。あぁ、音で時間が遡る甦る。

でもね、、

翌朝はちょっぴりの二日酔い、外は相変わらずしとしとと雨が降っていて。
卵焼きとお味噌汁とおにぎりの朝ご飯いただいて、お腹も気持もほっこりシアワセ、ハードディスクは廻っていなかったけれど、お母さんが赤ちゃんにご飯を食べさせているっていう、平和で穏やかな空気のなか、なんとなく始まった2台のカリンバのセッションが一番素敵だったんじゃないかと思うのね。
その時間、きっと世界で一番美しい音楽が部屋を満たしていた。
Reco2


10月31日(土)音速珈琲廊@エビス駅前バー

久し振りのライブです。
3ヶ月ぶりくらい。
土曜日だったので搬入〜リハの時間から息子を連れて行った、、いや、最近は付き合って貰っている、と言うか。
恵比須なんてね。なんて久し振りなんだろう、、なんかあの辺、サブカルでお洒落でって云うイメージが気になって、若い頃は時々行っていた。でも今見るとそうでもなくて、お洒落過ぎない良い頃合ってもんがわかってる街になっていた。はは、そりゃ80年代じゃないしね。
ところでエビス駅前バー。
サウンドチェックを本当にきちんとやってくれた。ティンクリは、マイクで音を拾って綺麗な出音にするっていうのが本当に難しい楽器なのだが、素晴らしく良い音に作ってくれた。
それでもリハのときはスティックの打撃音がマイク直近の場所では少し気になっていたのだけれど、本番になったらちゃんと解消されていた。絶妙なマイク位置のずらし方で、打撃音ではなくてその後の響きを拾うようにしてあった。やるなぁ、、

良い出音を約束されたステージ。で、ついついテンション上がり過ぎちゃった。
弾きすぎてる、やはり。あとで思う。
でも楽しかったなぁ。
パーカッションにあんりちゃん。確実なビートで、数曲そういう弾きすぎ場面で助けて貰いました。
でも、フルート、ソプラノ.サクソフォーンでTommyさんにも数曲参加していただいたので、それはそれでやはりついついね、、絶妙なるTommy'sToneでついついと。
この4人で演奏する場面はさすがに安定感がある。余裕が産まれる。その余裕の中で何をする、しない、が重要な事だった。
しょうくんとふたりの「冒険に満ちた音の旅」とはまた違うことがわかった。
音速珈琲廊はふたりのユニットで、リハーサルとライブの区別はない。どんな場面の演奏でもすべて出し切っちゃう。まさに冒険とスリル。純粋音楽。
それはしょうくんの家の自室スタジオや我家のキッチンで行われる。そしてステージでも行われる。いいのかな?こういうことを行って、、と思う時もある、でも冒険だ。
それは即興演奏の音楽?と思われるかもしれないけれど、そうではなくて。呼び名はまだないけれど「音速珈琲廊」です。
長い時間をかけて、たくさんの冒険を成功させてきた。
それは曲として結実したり、CDにもなった。でも結実に行き着くまでの冒険はCDには収めていない。
Ebi1


驚異の和音感覚で冒険に誘われ、突然に和音の繭から単音の音空間に放り出されて、彷徨うスリル。でもその非情なまでに寂寞とした世界で徐々に構築されてゆくもの、、
そして和音の繭に戻れたときの安堵感。
なにか今回のライブで色んなことがわかってきた。
ゲストミュージシャンが出入りすることで、自分にとって際立つような「気付き」があった。

遠路より聴きに来てくれた大事なトモダチが後日メールをくれた。
「新しい音速珈琲廊、冒険的な音楽、絶品でした」とあった。
これは新しい4人の音速珈琲廊、という意味ではなくて、CDというカタチで結実した冒険が一区切りついて、新しいふたりの冒険が始まった、ということだ、とぼくは受け取ったのです。
Ebi2


ねぇ、しょうくん、独自であると云うことは、孤独な道を往く音楽なのかも知れませんね。
報われずとも、恐れずに孤高であれ、音速珈琲廊。
この11月にぼくはそう思っています。

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